第334回カントリー情報早朝講演会
講師:外務省中東アフリカ局 局長 上村司 氏
演題:「最近の中東情勢について」
1. 日時:2017年3月16日(木)
午前8時30分~10時00分
2. 講師:上村司 氏
外務省中東アフリカ局 局長
3. 演題:「最近の中東情勢について」
4. 場所:ホテルオークラ東京
5. 概要
講演では、上村司氏より、最近の中東情勢(サウジやシリア等)について、具体的なお話があった。
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。3月16日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。
今回の早朝講演会では、上村司外務省中東アフリカ局長のお話を拝聴して、新トランプ米政権の外交政策を踏まえた、複雑な利害対立が存在する最新の中東情勢について学んだ。
オバマ政権後期では中東地域に対して距離を置くオフショア政策がとられ、アメリカのコミットメントが低くなったことで、中東地域での様々なプレーヤーの活動が活発になり、その過程でイスラム過激派組織ISILが誕生した。中東情勢は近年見通しの立たない状態であったが、トランプ政権のISILへの対応を含めた中東政策の変化により、混沌とした中東地域において、動きがある程度明確になってきたとのお話であった。中東地域における国際社会の一番の大きな懸念はイスラム過激派組織によるテロ行為であるが、一方で中東の大国サウジアラビア(アラブ民族)はイラン(ペルシャ民族)とのパワーバランサーであり、中東地域における国々においては我々とは大きく異なった見方をしていることを知った。また、イスラム過激派が多く存在する中東地域において、前オバマ米政権がイランとの核合意を成立させた事の大きな安全保障上の意味を知ることができた。
特に印象に残ったのが、一般的に貧困が人々をテロリズムに駆りたてるという理解があるが、それは必ずしも事実に即していないというであった。テロリズムの歴史は長く、イスラム過激派の到来はオスマン・トルコ帝国の滅亡に起因している。グローバル化が進み、国民国家の在り方が変容する中で、イスラム教徒のエリートを中心とした層は、強い国家実現のためにはオスマントルコを起点とした原点回帰が必要であると考えた。それらの思想が脈々と受け継がれ、現代社会においてグローバル化の恩恵を受けない貧困層の若者を扇動し、テロ行為へと駆り立てるのが、現代的テロリズムの大きな特徴であるというお話であった。
今回、上村局長のお話を伺い、複雑な国際情勢を理解し分析するためには宗教、民族の勉強に加えて、歴史の理解が必要不可欠であると知った。今後は歴史を勉強し、それらの知識を背景に中東情勢の理解に努めたいとこの講演会を通じて強く感じることができた。
インターン生
麗澤大学3年 大垣 直哉
(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)
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