GREETINGS FROM THE PRESIDENT / 理事長挨拶

去る3月末、一人のAPIC・上智大ザビエル高校奨学生が4年間の上智大での勉学を終え、卒業、パラオに帰国しました。国際経済・経営を学んだウバイは、姓をキンジョ―と言い、家系のルーツは沖縄にあると言っていました。大学ではバスケットボール部に属し活躍しました。彼の卒業は大変嬉しいことです。ささやかな送別ランチで、今後の多幸を祈念しました。この機会に、この奨学金事業に対し資金を含めご支援を頂きました関係者、団体の皆様に深くお礼を申し上げます。また9月には、我々の別のプロジェクトにより上智大大学院で環境学を勉強してきた中米カリブのバルバドスの留学生が卒業する予定です。何時も活発に議論に貢献するニキータの姿には、皆が元気づけられます。
教育は、国の力の重要な部分を成します。日本の大学にも多くの留学生が来るようになっています。高水準の、開かれた、世界的な教育は、広い意味での文化力、ソフトパワーであり、世界への貢献でもあります。今、米のトランプ政権はハーバード大などに対して留学生政策等を変更するよう圧力をかけています。「いじめ」ともいえるかかる介入は、思想や科学の自由を損なうことになります。大学はこれに立ち向かっています。ハーバードは、世界屈指の大学であり、広く世界の「ベスト・アンド・ブライテスト」の学生が集まってきます。現地で見たその知的生産力には圧倒されました。ハンチントンやナイといった世界的に著名な学者が自分で持ってきたサンドウィッチやリンゴに齧り付きながら、学生と真剣な議論をしているブラウン・バッグ・ランチは今でも忘れられません。大学への「いじめ」が続くと、結局、米の力を弱め、イノベーションの力も削ぐことになるのではないかと心配になります。影響を受ける学生達の不安は、想像に余りあります。大事にならぬよう、願わざるを得ません。
2025年7月
一般財団法人 国際協力推進協会(APIC) 理事長
重家 俊範
一般財団法人 国際協力推進協会(APIC) 理事長
重家 俊範