一般財団法人 国際協力推進協会
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第339回早朝国際情勢講演会

第339回早朝国際情勢講演会

平成29年9月21日
講師:前駐インドネシア共和国特命全権大使 谷崎泰明 氏
演題:「最近のインドネシア情勢と日・イ関係の課題と展望」


1. 日時:2017年9月21日(木)
     午前8時30分~10時00分
2. 講師:谷崎泰明 氏
     前駐インドネシア共和国特命全権大使
3. 演題:「最近のインドネシア情勢と日・イ関係の課題と展望」
4. 場所:ホテルオークラ東京

5. 概要
 講演では、谷崎泰明氏より、最近のインドネシア情勢や、日本との関係の課題と展望に関する幅広いお話があった。

インターン学生の声①

APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。9月21日のAPIC早朝国際情勢講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。

「最近のインドネシア情勢と日・イ関係の課題と展望」を傍聴して



 2017年9月21日にホテルオークラにて、前駐インドネシア共和国特命全権大使の谷崎泰明氏によるに最近のインドネシア情勢と日・イ関係の課題と展望についての早朝講演会が行われた。講演会では、インドネシアの歴史や現在の問題点、今後の展望など詳しくお話していただいた。その中でも私が関心を持ったのは次の点である。

 まず印象に残ったのは、インドネシアが日本のみならず、東アジアにおいて重要な国であるということである。インドネシアでは市場としての価値が高いだけでなく、政治・経済・社会など様々な面で21世紀のモデルである点には驚いた。西のトルコ、東のインドネシアと評されるほど重要な国であることがわかった。

 インドネシアの歴史をたどっていくことで、現在の課題が浮き彫りとなった。例えば、「パンチャシラ」はインドネシア建国理念として、特にスハルト政権時代にパンチャシラ教育が進められた。これにより、世俗主義として諸宗教を平等に認めているものの、イスラーム教徒が多いため世俗主義かイスラーム化か選択を迫られていると感じた。また、インドネシアでは多種多様な民族からなる多民族国家であるため、国家の求心力の維持が難しい点もある。

 現インドネシア大統領ジョコウィ政権に関する話もあり、今後の展望も注目していきたいと思う。いくつか課題もあったが、今後その課題を克服していけば東アジアの他国へのモデルとなるだろう。インドネシアの多様性を受け入れる姿勢は日本にいる我々も見習わなければならないと感じた。


インターン生
上智大学3年 大野 敦子

(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)


インターン学生の声②

APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。9月21日のAPIC早朝国際情勢講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。

「最近のインドネシア情勢と日・イ関係の課題と展望」を傍聴して



 2017年9月21日にホテルオークラにてインドネシア元大使である谷崎泰明氏による、インドネシア情勢や日本との関係をテーマとした早朝講演会が行われた。インドネシアは近年では軍部の力も弱まっており選挙中にクーデターが発生するといった騒動も起きておらず、ASEANの一国として急激に発展を遂げている。しかしながら、国内では政治・社会的な問題を抱えている。世俗主義かイスラム主義か、民主化か独裁化か、といった国家の政治体制について、海外・国内に対する遠心力や求心力、更には多民族多文化社会に関する問題が生じている。

 谷崎氏は主にイスラム主義や民主主義についてお話しされていたが、個人的に私が特に興味を持ったのは多民族多文化についての問題である。インドネシアは多数の島と民族で構成されており、あらゆる文化やバックグラウンドを持った人々が一つの国家を形成している。今、そのようなインドネシアの多民族多文化社会の中で問題となっているのはエリートと非エリート、ジャワ島出身者と非ジャワ島出身者の分断である。例えば代々のインドネシア大統領はジャワ島出身者でありエリート階級であったように、エリートやジャワ島出身者とそれ以外の人々の溝は大きい。更に近年のグローバル化の影響もあって両者の貧富の差は拡大するばかりだ。国内格差というのはインドネシアだけでなく世界各国で起こっている問題である。アメリカでは非エリートのエリートに対する不満が国内に広がった結果、アメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領が当選したり、ヨーロッパでは移民排除をマニフェストとする右派政党が台頭したりしている。

 このようなグローバル化による格差に対する不満や多民族との共存否定の風潮が高まっていく中で、多民族多文化国家であるインドネシアがどのような方向に進み、国内格差を是正していくのかということは非常に興味深い。貧困層にはイスラム教徒が多く、格差是正を行う中でイスラム原理主義の発展を抑えることも課題であり、簡単に解決することのできる問題ではないだろう。しかしながら、国内の格差を埋めることは国力が強まる要素の一つであり、また多民族の共存に成功するということは先ほど述べた“反グローバル化”の動きに対して一石を投じることとなるだろう。

 現在の大統領であるジョコ・ウィドド氏はこうした問題に対して内政・経済重視の政策を行っているので、今後の社会構造の改革が期待できる。この講演会でインドネシアの他国との関係性や経済状況だけでなくインドネシア国内の社会体制に関するお話を聞くことができ、良い経験を得ることができた。


インターン生
上智大学2年 島田 紗弥

(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)


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