第331回カントリー情報早朝講演会
講師:外務省中南米局長 髙瀨寧氏
演題:「変容する中南米と日本外交」
1. 日時:2016年12月15日(木)
午前8時30分~10時00分
2. 講師:髙瀨寧氏
外務省中南米局長
3. 演題:「変容する中南米と日本外交」
4. 場所:ホテルオークラ東京
5. 概要
講演では、髙瀨寧局長より、中南米地域と日本の関係について、経済・外交の点から幅広いお話があった。
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。11月17日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。
「変容する中南米と日本外交」と題した今回の講演では、高瀬寧外務省中南米局長より昨今の安倍首相の中南米各国歴訪を踏まえた上でこれからの中南米における日本外交の展望のお話があった。また、最近の中南米諸国の社会事情や経済情勢についてのお話もあった。それを踏まえた上で、これからの日本と中南米諸国との外交について考えてみたい。
そもそも、中南米は日本にとって地球の裏側に位置し、とても地理的距離が遠い。しかし、GDP第9位のブラジルや第15位のメキシコなど大きな経済規模を有する市場が存在し、日本の総輸入の内、銅の6割、鉄鉱石の約3割、大豆の約2割を中南米からの輸入に頼っているのが現状だ。また、ブラジルやペルーを筆頭に中南米には210万人の日系人が生活しており、日本の文化や慣習に親しみやすい環境が形成されている。更には、先日の9月22-23日に首相として初めて安倍首相がキューバ訪問を行ったことを始めとして、安倍首相による中南米各国訪問が活発に行われ、中南米諸国との信頼関係が構築されている。このように、たとえ日本との地理的距離が遠いとしても、多方面での距離感はとても近いことが分かる。では、このような中南米諸国とこれからどのような関係を構築すべきであろうか。
現在、国際社会においても中南米は国連安全保障理事会において毎年2議席を保持し、国連加盟国の約18%を占めているなど多大な影響力を有している。また、経済分野においては、南米南部共同市場(MERCOSUR)やカリブ共同体(CARICOM)などの経済共同体を形成し、経済成長を遂げている。さらに、シェールガスなどの豊富な鉱物資源を基に様々な国と多角的に貿易を行っている。こうした中で、これからの日本は政策と経済2両面で強固な協力体制を構築すべきであると考える。まず、政策面においては、国連安保理改革や気候変動などの地球規模の課題解決において共に歩みを取れると思う。また、中南米には地震大国が多く存在しているため、地震対策の面からも知識や技術の交換などを行えるだろう。次に経済面について考えたい。現在、中南米は確固たる成長を遂げているため、インフラの需要が高まっている。そのような中で地域のニーズに適した日本の安全で質の高いインフラ輸出を行うことが重要であると考える。また、現在、日本は中南米からの鉱物や食物の大規模な輸入を行っている。これからも安定した供給を受けられ、日本のインフラ輸出体制構築のためにも自由貿易協定締結を視野に入れた経済協力関係の構築が必要になってくるだろう。
今回の講演を傍聴して、これからも日本と中南米は経済的な協力を行いつつ、多方面における協力関係を構築できるであろうと考えた。これからも日本と中南米間のニュースに注目していきたい。
インターン生
早稲田大学3年 小山 貴大
(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)
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