第311回カントリー情報早朝講演会

講師:前駐南アフリカ共和国特命全権大使 吉澤裕氏
演題:「南アフリカで考えたこと」
1. 日時:2015年2月19日(木)
午前8時30分~10時00分
2. 講師:吉澤裕氏
前駐南アフリカ共和国特命全権大使
3. 演題:「南アフリカで考えたこと」
4. 場所:ホテルオークラ東京
5. 概要
講演では、吉澤前駐南アフリカ特命全権大使より、①南アフリカ共和国の内政、②経済、③外交、④日本との関係、⑤中国との関係、⑥日本企業にとってのアフリカと南アフリカの意味について、詳細な説明がなされた。
前大使による南アフリカの政治・経済上の問題の分析および将来の展望は、今後の南アフリカと日本の関係について考えさせられるところが多かった。
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。2月19日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。
日本から地理的に遠く離れたアフリカ地域。従来、その実情を知り得る機会はそう多くはなかった。それは主体的に情報収集を試みた上でも同様のことであった。そんな未知で謎に包まれた国々に不思議と心惹かれた私にとって、2年前にアフリカンフェアと同時開催された「第5回アフリカ開発会議 (TICAD Ⅴ)」は心躍るものであった。これは他の日本の方々にとっても、在日アフリカ人を始めとするアフリカ系の方々にとっても同じような感慨を覚えさせるものであったのではなかろうか。
私は「TICAD Ⅴ」におけるJICA主催のシンポジウムを聴講し、それによってアフリカ諸国を“身近”に感じられるものとなった。アフリカ諸国が、ある面ではそれまでに抱いていたほどに“後進国”ではない一方で、別の面では想定していた以上に開発が進んでいない“後進国”であるという具合にだ。南アフリカ共和国(以下南ア)も例外ではない。南アは、日本を始めとしたODAによって支えられる必要があるものの、アフリカ諸国の中で唯一G20に加盟する国であり、前年にBRICS加盟を果たしたアフリカ諸国を牽引する国であった。当時、話を聞く中では、この国の将来的な成長が大いに期待できるように感じられた。
しかしながら、今回、吉沢裕前在南アフリカ共和国大使のお話を拝聴し(当該講演は、非公表という形式であったため、以下において講演に対する直接的な引用・意見は避ける)、その成長が伸び悩んでいるという実情を知ることとなった。特に、経済成長の低迷は深刻であるようだ。2010年から2012年にかけて毎年GDP成長率が3%前後であったが、2013年以来2%を切っている。失業率も約25%と極めて高い。労働者ストライキも頻発している。南アは欧州経済及び周辺諸国経済の停滞が原因と主張しているようであるが、南アの政策に問題があるとも指摘される。特に、貧困者層に焦点を当て、労働者組合との密接な関係性を重要視していることが、民間企業との折り合いがつかない大きな原因の一つであるとも懸念されている。また、南ア政府与党であるANCが外国の政党や外国企業から政治献金を受けているのではないか、また、そのことが諸外国の民間企業の南ア進出にとって阻害要因となっているのではないかという見方も南ア国内にあることも興味深い。
この度は南アの具体的な問題点をも“身近”に感じられた点が有意義であったと共に、日本が今後新たにどのような形態で南アを始めとするアフリカ諸国への支援を行っていくべきかという展望を考えていかなければならないと感じるものであった。

インターン生
学習院大学2年 南萌嘉
(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)
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