一般財団法人 国際協力推進協会
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ミクロネシア連邦観光促進ミッション

ミクロネシア連邦観光促進ミッション
(左から:小林氏、小巻氏、APIC佐藤常務理事、モリ公使、蓑田氏、林氏)

2019年2月9日から17日にかけて、APICと駐日ミクロネシア連邦大使館の共同事業としてミクロネシア連邦チューク州、ポンペイ州へ観光促進ミッションを派遣しました。ミッションはAPIC佐藤昭治常務理事を団長として、ロジャー・S・モリ公使(駐日ミクロネシア連邦大使館)、小林健氏(株式会社エイチ・アイ・エス)、蓑田秀策氏(元コールバーグ・クラビス・ロバーツ日本法人会長)、小巻和久氏(安田不動産株式会社(当時))、林ノブオ氏(ツインツリー株式会社代表取締役)、APIC芳賀達也理事によって構成されました。

APICでは、ミクロネシア地域における重点支援国としてミクロネシア連邦への国際協力を続けています。今回のミッションは、持続的な産業開発、雇用創出によって同国の社会課題を解決し、また将来の観光促進についての示唆を得るために実施されました。ミッション前半ではチューク州を訪問し、ウェノ島だけでなくトノアス島、ジープ島等の周辺島嶼の実地視察から、州要人への表敬、後半ではポンペイ州での視察、連邦政府要人訪問を織り込み、中長期的な視野に立ち、実際に社会を動かしていくことを念頭に日程を組みました。

◆ ◆ ◆

2月10日、上智大学の実践型プログラム「ミクロネシア・エクスポージャーツアー」の今後の発展を目的として、旧日本海軍司令部史跡の残るトノアス島や、近年は観光地として人気を博しているジープ島等の視察を行いました。現地在住でガイド歴20年を越える末永卓幸氏の案内の下、史跡の由来を改めて学ぶことができました。一方、海軍司令部史跡の残るトノアス島では、土地問題からスムーズな見学が難しいという課題も理解することができました。

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(末永氏によるガイド)

夜にはケンボー・ミダ チューク州公共事業公社CEOを初め、チューク州の発展を担う若手リーダー達との懇談が行われました。蓑田氏から島根県海士町の地方再生事例として、漁業加工におけるCAS(Cells Alive System 冷凍:細胞組成システム)の紹介があり、参加者は興味を持って聞いていました。ミクロネシア連邦では豊富な海産物がありながら、ブランド化、輸出に漕ぎつけることができておらず、CASの導入によってこれらの問題が解決できるのではないかという話も出ました。同地は、今後実施予定の太平洋島嶼国若手リーダー招聘計画の視察先として検討されています。

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(チューク州の若手リーダー達との懇談会)

11日には新しくなったチューク州庁舎でジョンソン・エリモ知事を表敬訪問しました。真新しい州庁舎は中国の支援で建設されたもので、知事は「APIC訪問団がここを訪れた初めての客だ」と述べました。会談の中で知事はAPICの取り組みを評価、歓迎し、州としても、引き続き協力したいとの発言がありました。

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(エリモ知事(左から4番目)を表敬訪問)

引き続き、庁舎内の会議室でチューク観光局マイロン・ハシグチ理事に面会しました。同理事からは「チュークにとって観光は大きな産業、また土地問題については観光局としても理解している、APICとは引き続き手を携えていきたい」という趣旨のコメントがありました。昼食はチューク商工会議所の若手メンバーと共にし、社会課題について率直な意見交換を行いました。

その後、キキ・スティネット氏(チューク州を代表する実業家)が経営するホテルのトラックストップを視察し、チュークウーマンズカウンシル(Chuuk Women's Council(CWC))を訪問しました。CWC本部は、APIC佐藤常務理事が駐ミクロネシア日本国大使に就任していた頃に無償支援として建設されたもので、チュークにおける女性、教育活動の中心地となっています。手工芸品の制作センター、簡易診察所、図書室、学習室等を兼ね備え、チューク社会の発展に大きく貢献している組織、施設です。

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(チュークウーマンズカウンシルにて)

12日は、夏に実施が予定されている上智大学「ミクロネシア・エクスポージャーツアー」における訪問先調査のために、観光局のハシグチ氏所有のミス・トランスコ号でチューク環礁内の視察を行いました。今後、同地を訪問する日本の大学生や高校生(今後高校生向けのプログラムも実施予定)にとっては豊かな自然を体験し、環境保全を考える上で、重要なサイトであることを改めて確認できました。

午後には、APICが上智大学への留学生、校舎改修等で支援をしているザビエル高校を訪問しました。高校までの通学路は悪路で有名でしたが、所々で州政府による改修工事が進んでおり、社会開発の進展を確認できる機会ともなりました。同校の校長を務めるイエズス会のベーカー神父が一行を歓迎し、丁寧に学校施設を案内してくださいました。訪問団の中には、初めて訪問する方も多く、同地が日本語名でマブチ・ヒル(校舎に使用している旧海軍施設を馬淵組〈現:馬淵建設〉が施工した)と呼ばれ、70年以上が経過してもなお堅牢な施設に、深い印象を覚えられたようです。

チューク州の滞在最後となるこの日の夜は、ブルー・ラグーン・リゾートでガーランド連邦議員主催の歓迎会が開催され、チューク州におけるほとんどの要人が集まる歓迎ぶりでした。前日に続き、エリモ知事に参加していただき、熱意を感じました。

13日、午前中にチュークに別れを告げ、ポンペイ州へ移動しました。到着後、堀江良一駐ミクロネシア連邦日本国大使(当時)を表敬訪問したのち、同大使主催の歓迎夕食会が大使公邸で開催されました。堀江大使から参加者に対してAPICの活動の紹介があり、また同大使館とAPICが共同で取り組んできたナンマトル遺跡保存活動についても説明がありました。ここでもモリ元ミクロネシア連邦大統領をはじめとした来賓から、佐藤常務理事への謝意が述べられました。

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(堀江駐ミクロネシア連邦日本国大使(当時)を表敬訪問)

14日は早朝よりマリオン・ヘンリー資源開発大臣主催の朝食会、その後はミクロネシア連邦の首都パリキールにてピーター・クリスチャン大統領(当時)及びポンペイ州庁舎にて副知事への表敬訪問を行い、APICの日頃の取り組みを紹介することができました。特にクリスチャン大統領は、ビジターセンター建設をはじめとするナンマトル遺跡支援、またAPIC発行のナンマトル遺跡ガイドブックに大きな関心を寄せられ、英語版だけでなくポンペイ語版も作成しなくてはならないと語られました。

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(クリスチャン大統領(当時)を表敬訪問)

午後、一行はナンマトル遺跡を訪問し、遺跡の状況や課題について現地コーディネーターの藤田氏からブリーフィングを受けました。帰途にはケプロイの滝、キチ地区の社会開発に貢献したヘンリー・ナンペイ氏の銅像に立ち寄りました。ケプロイの滝では、ポンペイ州の事業として、歩行通路、展望台等の観光施設整備が進められており、隣接するナンマトル遺跡と連携した整備に期待がもたれました。

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(ナンマトル遺跡)

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(ケプロイの滝)

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(ヘンリー・ナンペイ氏の銅像)

また、夕食会はマングローブベイホテルにおいて、College of Micronesia-FSM(COM-FSM)のジョセフ・デイジー学長主催で開催され、モリ元大統領、カシオ・ミダ元大統領首席補佐官夫妻も参加しました。佐藤常務理事の旧知であるデイビッド・パヌエロ連邦上院議員(現ミクロネシア連邦大統領)がその場に居合わせ、短時間ではありますが、情報交換ができました。

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(COM-FSM デイジー学長(左)と共に)

15日は、終日をかけてポンペイの離島であるアンツ環礁を視察し、夜にはミダ元大統領首席補佐官主催の歓迎ホームパーティーがありました。ポンペイの自然、温かい人々と触れ合うことが出来た夜となりました。

ミクロネシア連邦視察最終日は早朝より、ミダ氏をはじめとしたミクロネシア・日本友好協会(FSM-Japan Friendship Society)メンバーと朝食意見交換会を実施し、会の今後の方向性とAPICとの連携について、引き続き検討をしていくこととなりました。

今回のミクロネシア連邦視察は、長期間にわたり、チューク州、ポンペイ州におけるほとんどの重要施設、要人を訪問することができました。同国と今後の連携の方向性を検討にするにあたっての大きな経験、幅広い人脈を構築する機会となりました。

APICとしても重点支援国としてミクロネシア連邦への協力を続けて参ります。引き続き、皆様のご理解とご協力をいただければ幸いです。

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