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インタビュー:エーオンジャパン株式会社 山本達也 代表取締役社長

インタビュー:エーオンジャパン株式会社 山本達也 代表取締役社長

上智大学のインターン生はエーオンジャパン株式会社の山本代表取締役社長へインタビューを行いました。【2016年8月24日実施。聞き手:APICインターン生 兼子、金原、髙橋(上智大学)】

現在、大学ではグローバル人材の育成が重視されています。今回、上智大学インターン生はインターン活動の一環として、グローバル企業のエーオンジャパン株式会社(損害保険仲介を主に担当)の山本達也代表取締役社長、後半からはエーオンベンフィールドジャパン株式会社(再保険仲介を主に担当)の谷水克哉代表取締役社長にもインタビューを行いました。エーオングループは1919年シカゴで事業を開始以来120ヵ国以上の国々でサービスを提供しており、グローバルに活躍することで、日本企業のグローバル化を牽引している企業でもあります。世界の第一線で活躍する企業と同じ歩幅で歩むエーオンの事業には、想像をはるかに超えるアイデアや実践が見受けられます。その中でも山本社長、谷水社長の両者からこれからの日本に必要な「変化」や本当の意味でグローバルに活躍するということ、さらには今若者に求めていることについて質問しました。


Q.エーオンがグローバル化の最前線で意識していることは何ですか。

企業がグローバル化し、その事業の範囲や内容は多岐にわたります。しかし革新的な技術を生み出す企業は技術のプロであっても、リスクマネジメントのプロではありません。ですから私たちは、お客様のリスクサイドを共に考えるという仕事をしています。リスクが0%という仕事はありません。そこで私たちはその可能性を限りなく0に近づけるために、残りの1%ないしは0.1%を考えます。

例えば、宇宙産業に携わる人はその技術に関しては私たちより断然詳しいのですが、予測されるリスクに関しては私たちの専門分野であります。だから、お互い協力しあうことで新しいことに挑戦し続けることができるのです。現代のグローバル社会というのは、それぞれのプロフェッショナルが自分のエリアを熟知しており、エリア外はみんなで助け合う、そのような状態にあるのではないでしょうか。皆がコミュニケーションを取れば、世の中はより良くなるのではないでしょうか。


Q.リスクという言葉には日本と欧米の間に意味の違いがあるのではないでしょうか?

おっしゃる通りだと思います。例えば私が貯金した100万円を使って新しい仕事を始めます。すでにこの100万円を使うと決めた時点でリスクが発生します。もしかしたら作った商品が一つも売れないかもしれない。けれどもその仕事が成功した時には儲かる。

ここでリスクの捉え方に二種類あることがお分かりでしょうか。一つが「リスク=避けるもの」。これは日本風の考え方ですね。なるべく安全な道を通ろうとします。二つ目は「リスク=チャンス」。このように捉えるために、少しでもリスクの可能性を少なくします。リスクから目を背けず、「マネイジメント」することでリスクをチャンスへと昇華させることができるのです。これが欧米型だと思います。リスクマネジメントのためにアイデアを使うというのが欧米のリスクに対する考え方であり、事業を次々に拡大できる所以であると思います。


Q.グローバル化という、もはや避けられない現象に直面する日本企業に対して、これからエーオンはどのような方針でサポートしていくのでしょうか。

なかなかストレートな答えは出ないですよね。5年、10年で日本の企業がグローバルに活躍できるかと言われたら、必ずしもそうではありません。「こうやればいいんだ」という方法は正直なところありません。

しかし、企業にとって今よりも新しく、効率的な方法がある時に日本独特の「恥の文化」をうまく回避して新しい路線に乗り移っていけるようなストーリーを作ってあげられれば、世の中はスピード感を持って変わっていくと思います。例えば、国や産業界が定める新しいガイドラインや指針があれば、誰を責めることなく企業全体で変われるのではないでしょうか。また、遅れている企業や人を非難するのではなく、新しい路線を作るように働きかけるべきだと思います。そうしたことを通して、それぞれの企業が変わりやすくしてあげる方法を考えています。


Q.日本が国全体としてグローバル化を進めていく際に必要なこととは何だと思われますか。

日本の良さも絶対あると思います。こんなに快適で安全な国は日本しかないですよね。仕事の質に関しても日本のアベレージは非常に高いと思います。レストランやスポーツショップで働く従業員の方々は皆、プロフェッショナル意識が高いですよね。日本の「サービス」は海外から見ても非常に評価されています。しかし、このような「良い面」をたくさん持っているのにそれを外に伝える術が欠けている。つまり、「言葉の壁」です。日本で生まれ、育ち、就職し、日本文化の中でずっとやっていると、日本では通じても世界では通用しない人材になってしまいます。質の高い人材がたくさんいる中で、これは「人材の劣化」とも言えるのではないでしょうか。我々外資系の人間であってもこの壁を感じています。だから、これから期待するのはみなさんのように若い世代です。若い世代の人たちが英語でも日本語でもしっかりとディベートできるようになり、日本の「良さ」を世界にアピールできるような人材になってくれれば、日本企業の変化もスピードアップしていくと思います。


インタビュー:エーオンジャパン株式会社 山本達也 代表取締役社長
(インタビュー中の谷水社長(左)と山本社長(右))

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