インタビュー:駐日トンガ王国特命全権大使 タニア・ラウマヌルペ・タラフォリカ・トゥポウ閣下(Her Excellency Lady Tania Laumanulupe 'o Talafolika FUSITU'A)

Q.日本とトンガの関係についてお話しいただけますか。
A.2015年の7月に、日本の皇太子ご夫妻がトンガのトゥポウ6世国王の戴冠式にご出席されましたね。こうした交流にみられるように、実はトンガと日本の関係は政府レベルの関係以前に、両国の皇室関係に基づいています。例えば、先先代のトゥポウ4世国王は、日本を何度も訪れ、トンガに日本の文化を広めました。ですから、トンガの人々はみな日本に親近感を持っています。日本の皇太子もこれまでにトンガを3度訪れており、国王の葬儀や戴冠式など重要な場面にお見えになっています。
Q.お話に出てきたトゥポウ4世国王について、どのような日本文化をトンガに広められたのでしょうか。
A.国家間の強く、長い関係はその国の文化を理解しなければ成し得ない、という考えからトゥポウ4世国王はトンガに日本の伝統的な文化を広めました。それが、相撲とそろばんです。そのため、そろばんを世界に広める活動を行っていた大東文化大学の中野敏雄先生にお会いし、そろばん教育のために2人の留学生を日本に送りました。
実は、その2人の学生とは、ラグビー日本代表選手として活躍したホポイ・タイオネ選手とフォムリ・タウモエフォラウ選手です。彼らは、そろばん留学生として日本を訪れましたが、ラグビーの才能が評価され、日本代表に選出されたのです。これは、トンガの人々にラグビー選手として日本で活躍する道を開くものでした。現在、日本のほとんどのラグビートップリーグのチームではトンガの選手が活躍しています。
Q.トンガの留学事情についてお話しいただけますか。
A.トンガには総合大学がないので、奨学金を得ることができれば学生は必ず留学したいと考えます。しかし、残念ながら実際に奨学金を手にすることができる学生は5%しかいません。
留学先としては、フィジー、ニュージーランド、オーストラリア、そして日本が人気です。現在、日本の大学にもトンガからの留学生は来ていますよ。立命館アジア太平洋大学は有名で、5人の学生が在籍しています。トンガの学生は日本に馴染みがあり、また高校で日本語を教わる学生もいるため、留学先として選びやすいのです。ちなみに、トンガ語と日本語の発音は似ているため、習得もしやすいですよ。

(インタビュー中の様子)
A.まず、これまでの日本のトンガへの災害支援を心より感謝しているということを申し上げます。私たちは地理的な共通点も多い日本から、特に防災に関してともに学んでいきたいと思っています。昨年は仙台で行われた国連防災世界会議において、災害時は水と避難場所の確保が重要になることを話し合いました。
日本からの援助に関して述べると、日本はこれまで水供給システムの導入やソーラーパネルの設置を支援してくれました。そのおかげで水不足の被害はあまり受けないようになりました。
さらに、歯科保健活動を行っている南太平洋医療隊のマリマリプログラムもあります。マリマリとはトンガ語で笑顔を意味します。この活動は、JICAの支援を受け日本のNGOが、歯磨きの仕方をトンガの子供たちに教えるものであり、食生活の変化から生活習慣病が急増しているトンガにおいて、非常に重要な活動です。その他にも、飛行場や総合病院など、日本の援助で作られたものはたくさんあります。
Q.今日本でも数少ない女性大使として、トンガのジェンダー事情をどのように感じていますか。
A.トンガでは内閣と国会に女性は一人もいません。一方、会社のCEOの立場にある女性は多いです。これは、トンガの「FAHUシステム」という文化が関係しているかもしれません。子どもが生まれた時や結婚するときに、父の姉妹が最も尊敬されるというものですが、この文化のおかげで、女性が社会を引っ張っていくことに抵抗がありません。
しかし、トンガにも問題は多く、政治の世界でも、より多くの女性が活躍することが望まれます。一方、子育ても同時に大切な仕事であり、無視してはなりません。これは、トンガにおいても難しい問題です。

(左から:松尾、タニア大使、高瀬前駐ジャマイカ大使、松河)
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