一般財団法人 国際協力推進協会
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インタビュー: 津田塾大学 髙橋裕子学長

インタビュー: 津田塾大学 髙橋裕子学長
(左から:APICインターン太刀川さん、髙橋学長、川上さん)

津田塾大学とAPICは、2017年4月に教育連携に係る包括的な協定(MoU)を締結し、協力関係を強めています。今回は津田塾大学 髙橋裕子学長に、これから津田塾大学が目指すもの、さらに、APICとの関係についてインタビューしました。【聞き手:APICインターン生 太刀川、川上(津田塾大学)】


Q1・津田塾大学は4月にAPICと連携協定を結びましたが、結ぶきっかけは何でしたか。また、この協力体制をどのようにお考えですか。

学校法人 津田塾大学の理事会の方たちがAPICの理事の方たちと親交があり、連携協定を結んではどうかと、引き合わせて下さったのがきっかけです。

じつは協定がないときから、APICでインターンを経験させていただいた学生もいました。普通の大学生だったらとても行けないようなところ、そしてなかなかお会いできないような方たちとの食事会などに同行させていただいて、同じテーブルに学生がつかせてもらえたのですよね。このような学外での学修経験を積ませていただける協力体制を大変ありがたく思っています。

本学には既にバリトー学長※1に講演に来ていただいており、また10月にはフロイド・タケウチ氏の写真展等※2を開催できたことをありがたく思っています。

※1 西インド諸島大学ケイブヒル校(バルバドス)学長(西インド諸島大学ケイブヒル校学長招聘計画
※2 ミクロネシア写真展 『南洋の光』(津田塾大学にてミクロネシア写真展 『南洋の光』

インタビュー: 津田塾大学 髙橋裕子学長
(2017年4月に行われたMoU署名式にて。右:APIC佐藤嘉恭理事長)

Q2・協定により、APICのインターンシップやシンポジウムに津田塾生が参加できる機会が増えたと思うのですが、参加する学生にどのような期待をお持ちですか。

APICでのインターンシップは、「国際協力」の生の現場に触れることができる機会が多くあると思います。来日されるお客様の国際的な活動を側面からサポートするインターンシップですから、社会人になっていくうえで必要な基本的なスキルや、日本語・英語両方のコミュニケーション力を養ってほしいと思います。また、太平洋やカリブといった島嶼国に焦点を当てたユニークなプログラムは、今まで本学にはありませんでしたので、シンポジウムや写真展などの貴重な機会を多くの学生に活用してもらいたいと思います。


Q3・連携協定を結んだ際に、「人類の平和・安心・幸福の実現に寄与できるグローバル人材として大きく成長してほしい」という学長のコメントを拝見したのですが、学長が思い描く「グローバル人材」とはどのようなものですか。

自分の利益だけではなくて、広く大きく社会の公益を考えられるような、広い視野を持った人、他者に深い思いを持つことができる人が、いわゆるグローバル人材と言われる人だと思います。

私たちの大学の源流は、「果敢に海を渡って留学した女性(津田梅子)が創設した私塾」です。海を渡ることがとても困難であった時代に、最初に留学生として米国で学んだ女性が作った大学なのです。その遺伝子を、学生の皆さんには受け継いでいただきたいと願っています。

グローバル人材になるには、必ずしも、グローバル化を謳う大企業で働くとか、国際機関で働くとかということだけではなくて、やはり世界に視野を開くことができる人になるということがまずは第一歩です。そして、積極的に世界の人類のための安心や平和や幸福を考えるときに、自分自身の持っている能力のどの部分を活かして活動をしたら、どのような貢献ができるのかということを考えてもらいたいと思います。


Q4・昨年のアメリカ大統領選挙で話題となったヒラリー・クリントンさんと同じウェルズリー大学で研究されていましたが、アメリカの大学を選ばれた理由は何ですか。また、留学しようと思われたきっかけは何ですか。

ウェルズリー大学を選んだ理由は、女子大学として21世紀においても躍進している大学であるからです。ボストンに近いウェルズリーは7シスターズという7つ(現在は5つ)の名門女子大学にアクセスしやすい拠点になることも魅力でした。

なぜアメリカの大学を選んだかというと、私の専門分野がアメリカ研究であるからです。津田塾大学は全国の大学の中でも、アメリカ研究のカリキュラムを導入した最初の大学の1つなんですね。創設者がアメリカの大学で学んでいたということも関係しますが、アメリカ研究を始めた先生が津田塾大学の理事長でいらしたこともあって、津田塾大学は早くから非常に優れたアメリカ研究プログラムを持っていました。私が英文学科のアメリカ研究コースの学生だった頃も、顕著な活躍をされたアメリカ研究者がいらっしゃいました。私はアメリカ研究をさらに深めていきたいと思ったのでアメリカに留学しました。


Q5・近頃、留学をする学生が減少しているようですが、この現象をどのように思われますか。また、留学のメリットをお聞かせください。

減少しているのには、様々な原因があると思いますが、留学する学生は増えて欲しいと思っています。留学にはたくさんのメリットがあるからです。 私自身も留学しましたが、留学をすると日常生活で多様な文化に触れることができます。これはこのようにしなければならないと思っていたことが、違うやり方でやる人がいるということを目の当たりにします。そして、違う風にやっても別に差しさわりがないことがわかったり、目を見開かされる思いをしたりするのです。そのような経験は自分を大きく成長させるきっかけになると思います。 津田塾大学の4年間というのは私自身の基盤を作った時期だと思っていますが、併せて、カンザスで過ごした最初の留学期間は、自分自身のバックボーンになっていると思っています。2003年から04年にはカリフォルニアのスタンフォードに行きましたし、2013年から14年は東海岸のウェルズリーにいました。アメリカの中西部と西海岸、東海岸と様々な地域で生活を経験したということが、アメリカ研究者としての自分を育ててくれたと考えています。 また、留学は若い時に是非チャレンジしてもらいたいと思います。若い時は感性が柔らかく、違うものを受け入れやすく、いろいろなものに反応しやすい柔軟な時だからです。そのような経験を通して自分のバックボーンを作るということがとても重要だと思います。 また、日本にいると親御さんに守られた環境で暮らしていますよね。しかし、留学すると様々なことを自分自身で解決していかなくてはならない。そのような生き抜く力というのも留学経験は培ってくれると思います。できれば1学期よりは1年、1年よりは学位を取るプログラムに参加してもらいたいですね。


Q6・ご自身も津田塾大学のご出身で、今は津田塾大学の学長をされていますが、津田塾大学とはどのような大学とお考えですか。また、津田塾大学学長としてのこれからの夢をお聞かせください。

津田塾大学の創設者、津田梅子は6歳でアメリカに渡り、1900年に津田塾大学の前身、女子英学塾を創設しました。女性がつくったという稀有さと、117年も続いていること、またこれまで11人の学長のうち10人が女性であったということに女性の力への信頼が感じられ、とても誇りに思っています。

次世代の女性を育成してきた「女の長い列」というものがあります。そのための「バトン」が次々とバトンタッチされてきていて、その中で私たちは育まれてきた。いまも育まれ、そしてこれからも育んでいくということだと思います。そういう意味でこの大学は女性の次世代の育成に女性たちの魂がこめられています。津田塾大学は、女性を育てる底力のある大学だと信じています。

NHK初の女性人事局長や、国連で大きな活躍をする方など、新しい扉を切り開いてきた素晴らしい卒業生が今もたくさんいます。このような方たちに続くような人々をこれからも出していきたいです。また、卒業後も卒業生のネットワークの中でサポートし合い、卒業生が先ほど申し上げたような「人類の平和、安心、幸福の実現に寄与できる人」に成長できる、そんな学校であり続けるのが私の夢です。


Q7・今年度から女子大学初の総合政策学部が設置され、4ターム制となりました。津田塾大学のこのような新たな動きをどのようにお考えですか。また、この体制になって期待することは何ですか。

総合政策学部は「課題解決能力」をキーワードにしています。これからの時代、人工知能(AI)やさらなるグローバル化の影響を受けて、社会が大きく変化するでしょう。少子化や人口減少が津波のように迫ってきていて、今ある職業がAIに取って代わられるようになるかもしれない。そういう中で皆さんたちは21世紀の後半までキャリアを切り開いていかなければならない世代です。これからの激しい変化に対応するために、21世紀後半までキャリアを展開して、生き抜いていくための古びない力、学び方、リベラルアーツを基盤として基本となる力を学んでほしいです。また、ギャップタームを活用して、学外での多様な学びのあり方を経験してきてほしいです。


Q8・トランスジェンダーの学生の受け入れを検討予定であるという記事を拝見したのですが、日本のジェンダー問題の現状についてどのようにお考えですか。また、女子大学としてどのような方針をお持ちですか。

トランスジェンダーの学生については、受け入れを検討する会議を開始したという段階です。まだ検討中なのでどういう方向になるかということは申し上げることはできません。いわゆる「性同一性障害」の児童、生徒、学生が人権の問題としてフェアに対応されるべきであると考えています。 日本のジェンダーの状況については、女性の社会参画が非常に立ち遅れていたり、意思決定に参加するところに女性が十分に配置されていなかったりという、様々な問題があります。だからこそ、津田塾大学は女性が自信と実力を身に着けて社会を変革できるような教育を提供できる高等教育機関でありたいと思っています。


Q9・ホームページに掲載されているTSUDA VISION 2030を拝見しましたが、策定にあたり一番重視したことは何ですか。

やはり学生が中心であるということ、学生が実力をつけられるということ、そして、変革を担える女性を養成するということがモットーです。よりよい社会を作っていくために、女子大学で学ぶ女性たちにどのように力をつけ、一人ひとりの「伸びしろ」をいかに引き出すかを重視しました。もちろん21世紀には物事が早いスピードでいろいろ大きく変わることが予測されていますので、それに対応できるような教育を提供し、時代の変化に対応できるような人を育てていくことを大切にしました。


【略歴】
1980年(昭和55年)津田塾大学英文学科卒業。84年に筑波大学大学院修士課程修了。89年に米・カンザス大学大学院博士課程修了。教育学博士。04年津田塾大学教授、16年より学長。専門は、アメリカ社会史(家族・女性・教育)、ジェンダー論。著書に『津田梅子の社会史』(玉川大学出版部)等。アメリカ学会副会長、日本学術会議連携会員。
(※ 2018年1月時点)

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「理事長コラム」を更新しました。

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