一般財団法人 国際協力推進協会
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八王子市によるJICA草の根技術協力事業
ミクロネシア連邦チューク州ごみ処理関係者の国内研修へ同行

八王子市によるJICA草の根技術協力事業 ミクロネシア連邦チューク州ごみ処理関係者の国内研修へ同行
(大崎町役場でのブリーフィング)

2019年6月25日〜27日の計3日間、APICは、八王子市によるJICA草の根技術協力事業の一環として、鹿児島県志布志市および大崎町にて実施された、ミクロネシア連邦チューク州ごみ処理関係者の国内研修に同行しました。

八王子市では、JICA草の根技術協力事業「太平洋島嶼部におけるごみ問題改善‐ミクロネシア・チューク州での協働型2R推進プロジェクト‐」と題して同市の職員をミクロネシア連邦チューク州へ派遣する計画を実施しています。今回は、これまで現地で指導してきたチューク州のごみ処理関係者を研修生として6月16日から29日までの間に日本に招待するもので、数日間、八王子市にて研修を行ったのち、25日から27日にかけて鹿児島県志布志市・大崎町にて研修を実施しました。APICはこの鹿児島県での研修を支援することとなり、研修に同行しました。同地は今後のAPICの招待計画における視察先の候補として検討されています。

志布志市で行われたブリーフィングでは、住民がごみを27種類に分別していること、それにより同種類のごみを集めることが可能になり、リサイクル率を高められていることについて説明がありました。志布志市では、2000年に分別(当時は19種類)を始めて以来7年で一般廃棄物を80%削減することに成功しています。同市では元々、1990年に建設された埋め立て処理場が15年で満杯になると見込まれたことから、延命策としてごみの分別が始まりましたが、結果として焼却場を建設せずに、高いリサイクル率により持続可能なごみ処理が実現しました。

志布志市役所による住民に対する理解、協力の呼びかけとして、1年間で450回以上各自治会及び世帯を回り、分別・リサイクルについての説明会及びワークショップを行ったとの説明もありました。また、複雑なリサイクルシステムを運営するためには地域住民による協力や、意義・目的の理解が不可欠であり、市役所からの説明だけでは足りない部分を地域コミュニティが団結して補っているとのことでした。これに対してはチューク州が抱える地域コミュニティの脆弱性とリンクする部分があり、研修員たちはそれが持つ可能性について興味を示していました。

翌日には志布志市が管理するごみ処理施設及びリサイクル施設の視察を行いました。この施設ではリサイクル処理した資源を販売することにより余剰の利益を生み、市はこの余剰利益を教育や福祉に充て、住民へのリサイクル協力に対する感謝として還元しています。市の説明では、市民と行政が協力しあい、ごみの削減、リサイクル率の向上を目指すことにより、そこから資源が生まれ、自分たちに返ってくるという意識を市民に持たせることが大切だと繰り返されました。

大崎町も、ごみの分別品目を志布志市同様27種に分けています。高いリサイクル率により、大崎町と志布志市では焼却場に依存しないごみ処理を実現しています。大崎町では、ごみ処理にかかる費用の削減に成功しており、その分の費用を市の教育や福祉に充てているとのことでした。

今回の視察では志布志市と大崎町を訪問し、市役所からのブリーフィングや実際の現場の視察等を通して実りある研修が行われていました。その中でも、住民と企業、そして行政の協働・連携・信頼は志布志市・大崎町双方が繰り返し主張していたことであり、とりわけ最初の住民による分別の努力がなければ成り立たない事業であるという点については、チュークの研修員たちの大きな関心を引いていた事項でした。また、6月28日に行われた今回の研修を締めくくるラップアップミーティングでは、研修員たちが作成した今後の行動指針を示すアクションプランが発表されました。その中では、上記の三者の連携が含まれており、特に住民のごみ問題解決に向けての積極的な関与及び、行政からの住民に対する説明、協力を促す姿勢などを改善していくことが喫緊の課題として掲げられました。

※JICA草の根技術協力事業とは、国際協力の意志のある日本のNGO/CSO、地方自治体、大学、民間企業等の団体が、これまでの活動を通じて蓄積した知見や経験に基づいて提案する国際協力活動を、JICAが提案団体に業務委託してJICAと団体の協力関係のもとに実施する共同事業です。(国際協力機構(JICA)公式サイトより引用)


八王子市によるJICA草の根技術協力事業 ミクロネシア連邦チューク州ごみ処理関係者の国内研修へ同行
(研修で得た学びを踏まえたアクションプランの発表)

八王子市によるJICA草の根技術協力事業 ミクロネシア連邦チューク州ごみ処理関係者の国内研修へ同行
(ミーティング後の懇親会の様子)

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