一般財団法人 国際協力推進協会
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ミクロネシア歴史保存官コーラー氏の招聘及び日本・カンボジア両国の世界遺産関連施設の視察

筆者:上智大学客員教授 片岡 修
ミクロネシア歴史保存官コーラー氏の招聘及び日本・カンボジア両国の世界遺産関連施設の視察
(アンコール・ワットの上智大学西参道修復現場の視察。コーラー氏(中央)と片岡(左))

2019年4月26日に、文化財行政の第一線でご活躍のミクロネシア連邦公文書および文化・歴史保存局文化財担当官のオーガスティン・コーラー(Augustine Kohler)氏が来日され、片岡が同行しました。5月5日までの行程で、前半は日本、後半はカンボジアの世界遺産の代表的な遺跡と博物館など関連施設を視察しました。招聘は、①遺跡の保存状況と保護活動、②ガイドや文化財専門家の人材養成、③コミュニティと世界遺産の関係、④観光客と世界遺産の関わり、⑤文化財行政の現状、⑥博物館やビジターセンターの活用状況、⑦遺跡における銘板や解説板の表現方法や材質についての視察調査、⑧両国との支援ネットワークを構築し、視察成果を世界遺産ナンマトル遺跡に有効利用できることを目的としました。

日本では関西地区(奈良・京都・大阪)で視察を行いました。奈良のユネスコ・アジア文化センターでは森本晋センター長と中井公研修事業部長から文化財関連の研修プログラム、大阪の国立民族学博物館では小野林太郎先生と野嶋洋子先生から展示について説明を受けました。また、興福寺と東大寺と平城京跡(奈良)、平等院と清水寺と金閣寺(京都)、大阪府立弥生文化博物館を訪問し、遺跡や博物館内での観光客の動線や設置されている銘板や解説板などを観察しました。

カンボジアのアンコール遺跡群の訪問では、上智大学アジア人材養成研究センター長の石澤良昭先生のご厚意で、アンコール・ワット修復工事長で20年もの間アンコール遺跡群の研究と修築に従事されている三輪悟先生、国際協力と人材養成の豊富な経験をお持ちの丸井雅子先生、環境学がご専門のLao Kim Leang 研究員に同行いただき、遺跡だけでなくセンターの役割や修築史や保護活動について詳細な説明を受けることができました。またアンコール地域遺跡保護管理機構(APSARA)では、アンコール遺跡保存局局長のLy Vanna 博士から、アンコール遺跡群の保護管理など貴重な話をお伺いすることができました。

両国の各研究機関や博物館や研究者から歓迎を受け、ナンマトル遺跡に適用可能な多岐にわたる有益な情報を入手することができました。今年、外務省の「草の根文化無償資金協力」の助成によるビジターセンターが、ナンマトル遺跡に建設される予定です。この度の視察で得られた情報と経験を大いに反映していただければと思います。

ミクロネシア歴史保存官コーラー氏の招聘及び日本・カンボジア両国の世界遺産関連施設の視察
(京都の平等院鳳凰堂を背に)

ミクロネシア歴史保存官コーラー氏の招聘及び日本・カンボジア両国の世界遺産関連施設の視察
(平城宮跡の復原された第一次大極殿で)

ミクロネシア歴史保存官コーラー氏の招聘及び日本・カンボジア両国の世界遺産関連施設の視察
(タ・プローム遺跡の巨木に浸食された遺構前で)

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