一般財団法人 国際協力推進協会
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ミクロネシア3か国(パラオ・FSM・マーシャル諸島)若手リーダー招聘計画

ミクロネシア3か国(パラオ・FSM・マーシャル諸島)若手リーダー招聘計画
(京都で着物着付け体験中の若手リーダーたち。左から:ロヤック氏、ゴリアクル氏、ラーウォン氏)

2019年4月7日から15日まで、ミクロネシア地域の3か国から女性の若手リーダーを招聘し、東京、京都において様々な団体を訪問したり、ミクロネシア地域から日本へ留学する学生と懇談したりする機会を持ちました。今回の招聘者はそれぞれ、ジョリーン・ゴリアクル氏(パラオ)、ミラン・ロヤック氏(マーシャル諸島)、テレシタ・ラーウォン氏(ミクロネシア連邦)の3名です。

◆ APICブリーフィング
到着翌日の午前中、3名はAPICを訪問し、スタッフの紹介の後に佐藤昭治常務理事より、APICの事業について説明を受けました。質問なども交えながら、各々熱心に話に耳を傾け、島嶼国との関係を国際協力という側面からサポートするAPICに関する知識を深めることができました。

◆JCIE大河原理事長との昼食会
4月8日は、日本国際交流センター(JCIE)大河原昭夫 理事長と昼食を共にし、日本の政治や社会に関するブリーフィングを受けました。大河原理事長からは国会や政党の仕組みや少子高齢化など、日本の現状に関する説明があり、若手リーダーからは自国における社会問題や課題点などについて話をしました。具体的には、都市部に人口が集中することによる住居不足の問題や、SNSの情報を鵜呑みにする人が増えているという問題があるということです。

◆ APIC歓迎夕食会
7日の夕方には、ミクロネシア各国の大使や公使、招聘計画中に訪問する団体の方々と一緒に夕食を囲みました。夕食会の最初にはAPIC佐藤嘉恭理事長から歓迎の挨拶があり、フリッツ駐日ミクロネシア連邦大使より乾杯のお言葉をいただきました。夕食後には若手リーダー3名それぞれからスピーチがあり、本計画に招かれたことに対する感謝や日本滞在中の抱負などを話しました。また、ロヤック氏とラーウォン氏からは伝統的な織物や首飾り、男性用の腰巻きが贈呈され、ゴリアクル氏からは著書の絵本が贈呈されました。非常に貴重なミクロネシア地域の品々を目にすることができ、印象深い夕食会となりました。

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◆ 外務省 訪問
 8日の午前中は外務省大洋州課の清水上席専門官と面会し、ミクロネシア地域における日本の外交や、ジェンダーに関する日本の取り組みの一環として同年3月に東京で開催された国際女性会議(WAW!)ついてブリーフをしていただきました。自国社会におけるジェンダーに関することとして、ロヤック氏は「マーシャル諸島では女性は年齢や既婚、未婚に関係なく家族やコミュニティに対する責任を持ち、母親のような役割を担っています」と話していました。また、ゴリアクル氏は自身が最年少の州政府首席補佐官として働く経験から、仕事をする上でコミュニティから支援を得ることが重要だという話をしました。

◆ JICA 訪問
8日午後にはJICAを訪問し、若杉課長からご挨拶をいただいたのち、奥村主任調査役、丸山副調査役からミクロネシア地域におけるJICAの取り組みや、各プロジェクトの概要について説明を受けました。ODAに関する説明が最初にあり、プロジェクトの規模や進捗状況について詳細な説明がありました。若手リーダーたちは自分たちも応募できるようなプロジェクトがあることを知り、喜んでいたようでした。また、日本の自国に対する熱心な支援に感謝をし、訪問をしたことでより日本とのつながりを感じることができたと感想を述べました。

◆ そなエリア東京
9日午前中は、防災学習体験のためにそなエリア東京に足を運びました。この施設は地震や津波から身を守るための知識や体験学習ができる場所となっています。若手リーダーたちは職員の方から説明を受けながら施設内を見学し、マグニチュード7.3の地震を体験したのち、避難方法を学びました。ゴリアクル氏は「実際に災害に直面した際にとるべき行動を学ぶことができ、非常に勉強になりました。自国でもぜひ人々が災害の際の生存率を上げる方法を学ぶことができるような施設を作りたいです」と述べました。

◆ えどがわエコセンター
同日午後には江東区のえどがわエコセンターを訪問し、地球温暖化やそれに伴う気候変動、環境破壊などの問題に対する取り組みに関する話を聞くことができました。江戸川区は海と川に囲まれる海抜0メートル地帯を持つ場所でもあり、若手リーダーたちの出身国のように海面上昇の影響を非常に強く受ける地理に位置しています。そのため、学校への出前授業や市民団体との協力をすることにより、一人ひとりが環境問題に対する意識を強く持って取り組むことができるような工夫をしていると説明がありました。質疑応答の時間には、ロヤック氏より「マーシャル諸島共和国は沈みつつある国であり、海面の上昇から国を守るということが喫緊の課題となっています。環礁でできた国なので、国土が狭く、海面が上昇したら逃げ場がないのです。」と自国の状況を説明していました。センターのスタッフの方は、「環境問題は災害にもつながるので、命に関わる大きな問題でもありますね」とコメントされ、環境問題と災害の繋がりについても言及がありました。その後も海面上昇から土地を守る対策や取り組みについて熱心に質問が続き、環境問題に対する意識の高さを伺うことができました。

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◆ 上智大学あん・まくどなるど教授を訪問
10日は午前中に上智大学大学院地球環境学研究科のあん・まくどなるど教授を訪問し、日本の海女さんについて話を伺いました。ゴーグルや酸素ボンベなどの技術の発達に伴い、長時間の潜水が可能になるたびに、コミュニティの人々とともにその技術を導入するかを検討し、時間や場所などの制限をかけることによって資源を取りすぎない工夫をしてきたという話を聞くことができました。技術の発達を安易に喜び、使用するのではなく、その影響に思いをはせ、人と環境の関係を考える必要があるというメッセージに若手リーダーたちも新たな気付きを得られたようでした。

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◆ ザビエル・MCT留学生との交流
同日午後には「ザビエル高校留学生奨学金制度」や「APIC‐MCT留学生奨学金制度」で、ミクロネシア連邦とマーシャル諸島共和国から上智大学に留学している学生たちと交流する機会を持つことができました。同国出身のリーダーたちは「自分たちの国の若い人が日本で上手く大学生活を送ることができてうれしく思っています。もっと自国から日本への留学生が増え、国に戻った後に経験を活かしながら国へ貢献してくれると良いですね」と笑顔で話していました。その後、学生にキャンパスツアーをしてもらい、食堂や図書館、教室などを案内してもらったほか、上智大学グッズなどのお土産も購入し、大学を後にしました。

◆ 太平洋諸島センター 訪問
同日夕方には明治大学紫紺館にある太平洋諸島センター(PIC)を訪問しました。PICでは島嶼国に対する持続可能な経済発展を支援する目的を掲げ、貿易や投資誘致、観光など、様々な角度から交流を促進しようとしていると説明がありました。若手リーダーからはPICと自国との実現可能な連携について様々なアイディアが出されました。訪問後、ラーウォン氏は、「日本に太平洋の島国と日本の様々な角度からの交流を活性化させようとしているPICのような場所があることを知ることができてよかったです。自分の国の伝統的な物産を日本で見るとは思いませんでした」と嬉しそうに語っていました。

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◆ 津田塾大学 訪問
11日には津田塾大学小平キャンパスを訪れ、髙橋裕子学長を表敬訪問し、昼食を共にしました。食事をする中で、髙橋学長からは津田塾大学の歴史や日本の女性の歴史などについての説明があり、若手リーダーと島嶼国の女性の自立やジェンダーに関する話題について意見交換をしながら、和やかな時間を過ごすことができました。食事の後にはキャンパスツアーを行い、図書館内にある津田梅子資料室を見学したり、守屋多々志の屏風絵、「アメリカ留学―津田梅子」を鑑賞したりしました。

◆ ラウンドテーブルの開催
同日午後には、津田塾大学言語文化研究所にて、「ミクロネシア若手リーダーを招いて」と題してラウンドテーブル・ディスカッションを開催しました。このディスカッションは、日本において一般的に触れる機会の滅多にないミクロネシア地域の情報について、理解を深めてもらう目的で実施されました。ゴリアクル氏は、津田塾大学が女子大学だということもあり、学生へのエンパワーメントを意識しながら、女性としてパラオのコロール州政府首席補佐官の仕事をしている経験と若い女性に対するメッセージを話されました。ラーウォン氏は、ミクロネシア連邦のヤップ・カトリック高校で歴史の授業を担当している経験から、日本とミクロネシアの歴史について、過去から現代までの歴史的な繋がりについて発表をしました。ロヤック氏は、マーシャル諸島の伝統と女性の役割について、カヌーの構造とジェンダー論をからめながら説明をしました。津田塾大学からは髙橋学長、英文学科の教授、大学院生が参加し、質疑応答の時間には言語とアイデンティティに関する質問や、日本統治と文化の保持、統治時代に関する現地の人々の感情など様々な質問が投げかけられました。

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◆ 京都観光
土曜日と日曜日には京都に足を延ばし、三十三間堂や二条城、金閣寺、錦市場などを散策しました。観光地を回るだけではなく、土曜日にはワックジャパンを訪問し着物着付けや茶道を楽しむことができました。有限会社ワックジャパン代表取締役社長の小川美知氏には、設立の背景やワークライフバランスなどのお話を聞くことができ、日本の文化や歴史に触れる機会を楽しんでいるようでした。

4月の満開の桜の歓迎を受けながら、約一週間の滞在の中で、若手リーダーたちは人との出会いを通してネットワークを作り、日本で有意義な時間を過ごすことができました。日本で得た経験と人とのつながりを大切に、自国の中で活躍していくことを願っています。

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