駐日ミクロネシア連邦大使にインタビュー
Q1. 島サミットに期待することは何ですか?
島サミットに期待することは主に2つあります。1つ目は、今まで過去6回開かれてきた島サミットを通じて築いてきたものを改めて証明すること―太平洋諸国と日本との友好関係を再確認し、強化するということです。2つ目は、いわき市で開かれる第7回島サミット(PALM7)を通して、将来の方向性を定め、一緒に進み歩んでいくためのステップを踏むこと、具体的な成果を生み出すことです。
Q2. 第7回島サミットは復興をはかる福島の応援という意味も含むと思います。先日台風によって大きな被害をうけたミクロネシア連邦は、同じ、一被災国としてこのサミットに参加することにどのような意義があるとお考えですか?
自然災害を経験したという点は同じでも、災害の大きさを比べることはできません。災害が起きた時の対応、政策を強化していくうえで、被災の経験を共有することによって、他国のノウハウを知り学ぶ貴重な機会を得ることができます。ミクロネシア連邦が日本から学ぶことは多く、積極的な意見交換をしていきたいと思います。
Q3. 残念なことに、ミクロネシアの台風災害のことは、日本のメディアによってあまり大規模に報道されませんでした。ミクロネシアと日本は歴史的にも深い関係にあるにも関わらず、太平洋の国々に関して興味を示す人は総体的に少ないように感じます。大使はそれについてどうお考えですか?
3月29日、台風メイサークがミクロネシア連邦チューク州を直撃、続いてヤップ州をも直撃し、現地では大きな被害を受けましたが、日本のテレビニュースでは報道される機会がほとんどありませんでした。
しかし、インターネットニュース等で被災を知った方々が協力を申し出て下さったり、義捐金を集めるなどの行動を起こして下さいました。また、日本政府も迅速に援助を決め、行動して下さいましたこと、心より感謝しています。
Q4. 自由連合協定によって、アメリカへの出入りが可能になるなどの背景によって、優秀な人々が国外へ去り、人口流出になっていると考えられるが、これについてどうお考えですか?
これには2つの側面があると思います。1つ目は、人口流出というネガティブな側面です。主にアメリカには17%の人口流出が起こっているといわれています。これは、ミクロネシア連邦における、教育の機会、雇用の機会が限られているという点に原因があると思います。
しかし、ポジティブな側面から見れば、彼ら/彼女らが外国へ行き、学んだことを持ち帰るとなれば、それはミクロネシア連邦にとって、また、地域コミュニティにとって、プラスとなります。高等教育を受けた人々が、専門知識を身に着け、それを生かして故郷の人々の為に貢献してくれれば、必ずしも人口流出というマイナス面だけが残るとは限りません。
‐「頭脳流出」という問題がありますが、ミクロネシアの学生達は、留学後戻ってくるのでしょうか?
それは、私たちにとって、とても大きな問題です。より高い収入を求めれば、おのずと国外で生活し続ける人が増えるでしょう。私たち政府には、彼ら/彼女らの選択を決めることはできませんが、留学中のモチベーションの維持、又、外国のノウハウをいかにして国に持ち帰らせるかということが求められるところです。そして、それは今後も考え続けなければならない課題です。
Q5. 太平洋の国々は、散在しているために経済が上手く機能しないといわれているが、この問題についてどうアプローチしていくことが必要であるとお考えですか?
太平洋の国々が世界の中心となる市場から遠く離れているということは事実です。しかし、限られている資源だからこそ、それを生かし、付加価値を付け、そこにしかない希少性の高い商品として売り出していくことを目標にしています。
そのための課題としては、そのプロセスにおいて日本の技術支援やサポートを得ることが重要であり、不可欠です。 ミクロネシア連邦においては、漁業と観光事業を大きな二本柱としています。この二つの事業を成功させ、発展させるために、日本の投資を積極的に誘致し、協力支援を求めていきたいと努力しています。
(左からフリッツ大使、大高)
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