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【記事のご紹介】歴史、文化、人間性


(咲耶会(大阪大学外国語学部・大阪外国語大学同窓会)会報『咲耶』31号より転載)※転載許可済み
【記事のご紹介】歴史、文化、人間性

筆者:前駐サモア独立国大使 青木 伸也 氏

 この度、会報『咲耶』への寄稿依頼を受けた際には、私でも良いのかとの戸惑いがありました。私は、昨年11月に外務省を退職致しましたが、一昨年(2018年)、駐サモア大使の際に、100年前の1918年、サモア人の三分の一がスペイン風邪(新型インフルエンザ)のために死亡し、百年慰霊祭がありました。昨年は、ラグビー・ワールド・カップ対日戦があり、サモアの名を知る日本人も増え、初代特命全権大使として、日本人公邸料理人のいる大使公邸を設置し、外務省生活の最後を充実したものにできたとの思いで帰朝致しました。今年に入り、世界情勢はコロナ禍で一変しました。母校も100年前に創立され、多難な時代を歩んできましたが、その激動の時代に思いを馳せ、2020年の歴史上大きな分岐点になる年に、僭越ではありますが、母校に入学してからの一感想を寄稿させていただく光栄に甘んじることに致しました。

 今後の時代は、米中の対立が先鋭化していく国際情勢の中、AI(人工知能)の発展、デジタル経済の深化が予想され、大きく異なる時代に突入するものと考えられ、かかる情勢下、外国語を専攻する重要性をどこに見出すべきでしょうか。私は卒業後外交に携わる仕事に就きました。外国語を駆使した生活でしたが、歴史文化理解が重要と考えるに至った背景を以下に述べさせていただきたいと思います。

地域研究

 母校に在籍していた頃、「地域研究」について学ぶ機会がありました。「地域研究」で大事なことは、「ミミズが這い回るような土壌の匂いがする歴史文化を理解すること」とありました。自分はミミズか。それでは「ミミズ人生」を目指そうと決意しました。外務省ではタイに留学する機会がありました。留学中、タイ人大家族の一軒に下宿してタイ人大家族といっしょに暮らしました。そこで「ミミズのような土壌の匂いのする」社会文化の理解に努めました。

タイ仏僧(仏僧名:ワラチノ)に出家

 タイ留学中、タイの文化理解にはタイ仏教を学ぶべきであるとの思いでしたが、当時は実現できず、50代になって、思い立って仏僧として出家致しました。この経験はタイの理解を深める上で役に立ちました(奥が深いので触れた程度ですが)。外務省生活でタイ勤務は3回15年、その他は、米(ヒューストン)、シンガポール(APEC事務局)、豪(シドニー)及びサモアの英語圏に11年でしたが、各任地での歴史文化理解に努めました。

サモアでマタイ(首長)称号取得

【記事のご紹介】歴史、文化、人間性

【記事のご紹介】歴史、文化、人間性
(2017年6月18日付 samoaobserver紙)

 サモアで「マウガオリアトアロ(霊山の意)」というサモア唯一のマタイ称号取得の光栄を得ました。サモア人よりはこの称号で呼ばれていました。昨年帰朝する直前、トゥイラエパ首相より、初代大使として赴任し、サモアの人と文化を大切にしたアプローチを高く評価する旨の特別の謝状が公邸に届けられました。

むすび

 AI(人工知能)の時代において、外国語を学ぶことにどういう意義があるのか。AIにできない人間性で人と人との信頼関係を構築することを外国語を習得しながら歴史文化も学びつつ涵養することではないでしょうか。母校は100年を迎えます。新しい試練の世界情勢が展開していく中で、果敢に挑戦していく人材を輩出する血が母校には流れていると確信しております。



【記事のご紹介】歴史、文化、人間性
前駐サモア特命全権大使 青木 伸也 氏
略歴

生年月日:1953年11月12日(滋賀県)

学歴:
1980年 大阪外国語大学タイ語学科卒
1983年 チュラロンコン大学国際関係学修士課程修了

職歴:
1980年 外務省入省
1981年 在タイ日本国大使館
1983年 同三等書記官
1986年 在ヒューストン日本国総領事館副領事
1989年 外務省国際報道課課長補佐
1991年 外務省南東アジア第一課課長補佐
1993年 国際協力銀行開発援助研究所エコノミスト兼課長代理
1996年 在シンガポールAPEC事務局ディレクター
1999年 在タイ日本国大使館一等書記官
2002年 在シドニー日本国総領事館領事
2005年 公益財団法人フォーリン・プレスセンター・ディレクター
2009年 在タイ日本国大使館参事官兼広報文化部長
2013年 外務省儀典官兼儀典賓客室長
2015年 在チェンマイ日本国総領事
2017年 駐サモア日本国特命全権大使

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