一般財団法人 国際協力推進協会
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インタビュー:舟木いさ子 APIC理事(ヤクモ株式会社 代表取締役会長)

インタビュー:舟木いさ子 APIC理事(ヤクモ株式会社 代表取締役会長)

APICが年2回発行している会報誌では、APICの活動を支える理事・評議員へのインタビュー「APIC役員に聞く」を行っております。今回は、舟木いさ子APIC理事(ヤクモ株式会社 代表取締役会長(当時))にインタビューをお願いし、ご自身のロータリークラブの活動を踏まえた国際協力への見解と、若い世代へのメッセージについてお聞きしました。【聞き手:APICインターン生 馬場、武井(上智大学)】


Q1・国際協力に関わる上でどのような信念を大切にされていますか。

「継続するということ」です。私はミクロネシア連邦チューク州へ何度も行きましたが、人々はここで、飲料用や洗濯のために雨水を貯めて生活をしていました。しかし、近年地球温暖化の影響で雨が降らなくなってしまい、水不足で新生児が次々と亡くなってしまいました。島国だから、海水には恵まれていても摂取はできない。「助けないと」という思いで、私達は海水を真水に変える機械を開発しました。それが、ロータリークラブの「チューク州離島への海水蒸留器設置プロジェクト」です。中国で、日本の10分の1のコストで製造し、ミクロネシアのチューク州へ寄贈しました。私自身が、使い方の説明もしました。その後、雨が降るようになったと聞いて安心しました。さすがに機械は捨てられたと思っていましたが、行ってみたらまだ使われていました。彼らは、海水が蒸発して残った塩を、魚の保存用にしていました。雨が降ったから機械を捨てるのではなく、塩を作るために再利用していたのです。塩で魚を保存すれば、売ることができます。産業の基盤もなく、電気もないようなところ。この1つのプロジェクトで2つのことができました。切迫した問題であった、「子供の命を救う」ということ。そして、「保存を通して産業を支える」ということ。この経験から、国際協力には「継続」が大切だと実感しました。特に、ザビエル高校の奨学金制度は、長く続いて欲しいです。一時的に寄付を頂くだけではなく、どのようにして「続けていくか」ということが大切だと思います。


Q2・ 国際ロータリー第2750地区のガバナー※(議長)としてご活躍された舟木理事ですが、当時はガバナーとしてどのような理念を持って取り組まれていましたか?

やはり常に時代と共に変化し、活動を活性化することです。そこで私は、現代の多様性に対応できるよう、「新しい風」が必要だと思いました。つまり、若い人材を取り込むことです。震災があった際は若い人たちがたくさんボランティアに行きました。こうした、挑戦心を持ち果敢な取り組みをする若い人たちの意見を聞くべきだと思い、私は6つの新しいクラブを作りました。仕事をする若い方々のために定例会の時間を昼から早朝や夜に変更したり、世界に散らばった人たちが繋がれるよう、インターネットでの会合も取り入れたりしました。

※「地区ガバナー」とは、国際ロータリー理事会の一般的な監督の下に職務を行う、その地区における国際ロータリーの役員のこと。


Q3・どのようなお気持ちの基に、毎年ザビエル高校留学生奨学金に多大なご協力をされていますか。

島国であるミクロネシアでは、学校まで行く船がないために、学校に通えない子供たちがいます。読み書きも、道徳も学べないんです。解決の糸口の一つとして、私はソーラーパネルを現地へ運び、電気が届く環境にして、パソコンで教育の機会を提供しました。自身のこういった経験から、ザビエル高校の学生の皆さんには世界を知ってほしいという思いがあります。そして、異国での経験を通して、自分の国を平和にするために考えるきっかけにしてほしいです。そういう意味を持って、ザビエル高校の学生の皆さんが日本に来てくれたらうれしいですし、私自身もそれを願って協力させて頂いております。


Q4・世界に貢献し、活躍する主体となるために、私達大学生が学生のうちに学ぶべきことはどのようなことだとお考えですか。

頭で考えるだけではなく、「実践すること」が大事だと思います。例えば、3年前フィリピンに大きな台風が直撃したとき、私はニュースで見聞きするのみでなく、自分で実際にフィリピンの現状を見に行きました。行ってみると、どこもかしこも瓦礫の山。多くの人が死に、何もない。涙涙の状況でした。ある都市の市長さんに一番欲しいものを訊いたんです。というのも、災害に遭わなかった人々のお気持ちで衣類などの物資を送るのですが、届いた物資の置き場もないという問題があったりします。その被災地の現状に即した必要なものを知る必要がありますね。市長さんは、病院と仰いました。そこで、シンガポール、フィリピン、日本の三ヵ国で寄付を集めて病院を建てました。国際協力の中で、本当に必要とされているものは現場に行ってみないとわからないというのが私の実感です。知識を詰め込むだけでなく、実践する。「やってみる」ということです。

もう一つ大切なことは、寛容の心を持つことです。自分の考えが正しいと主張し続けるだけでなく、相手がどう考えているのか、「聞く耳を持つ」こと。今の学生の皆さんには、優しい心を持って、日本だけでなく世界中に貢献していく方になってほしいと思います。

インタビュー:関西外国語大学 片岡修教授
(左から:APICインターン馬場さん、舟木理事、武井さん)

【略歴】
1974年 ヤクモ株式会社入社
1996年 ヤクモ株式会社 代表取締役社長
1996年 デービー株式会社 代表取締役社長
2008年 ヤクモ株式会社 代表取締役会長

1994年 防音設備協会 会長
1998年 日本振動技術協会 理事
2003年 品川優申会 副会長
2009年 品川法人会 副会長
2015年 国際ロータリー日本青少年交換 理事長

(※ 2017年7月時点)

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